新ドライもん・のび太の国士無双伝説
第4話 国士無双拳
作:T@S
ジャイアンの宣言がなされてから、信者が次々と活動を始めている。
今夜0時に日本を征服するための宣戦布告がされるため、戦いに向けて準備しているのだ。
信者は物凄い速さで崩壊した家の瓦礫を集め、剛田雑貨店を強化している。
さらに車をいとも簡単に戦闘車両に改造してしまった。
毒ガスやミサイル、プラスチック爆弾の製造もこなしてしまうほどである。
「ふふふ…これくらいあれば…。」
膨大に積まれた兵器にジャイアンは不気味な笑みを浮かべる。
剛田雑貨店はたちまち要塞と化した。
大量の砲台が取り付けられ、いつでも攻撃可能になっている。
近づいた敵は一瞬にして蜂の巣どころか跡形も無く粉々にしてしまうほどの機銃掃射が出来る設計が施されている。
一体どうやってこんなことができるのであろうか?
それを可能にしてしまうのが今のジャイアンだと言うのは確かではあるが。
のび太はとりあえず家に帰ることにした。
静香が消息不明で、しかもこの状況で探すのは危険と判断したからだ。
「ママはどうなったのかな…。洗脳されていなければいいけど。」
道には信者が行き交っている。
洗脳されていないと気付かれないように歩く。
そして、やっと家が見えてきた。
だが…
「野比、何をやっとる?」
「しまったぁ!」
不覚にも家まで後少しというところで先生と遭遇してしまった。
先生は白い目をしながら巨大な瓦を背負っている。
「野比、ジャイアン様のもとに資源は運んだかね?」
だが目の前にあるのび太の家は全く崩壊しておらず、言い訳ができない状況であった。
ましてや塀や窓ガラスさえひびが入っていない。
どうやら信者は壊れた家には一切興味がないらしい。
それとも、崩壊してない家には何か秘密があるのだろうか?
いずれにせよ、のび太が言い訳できることはなかった。
「ええとその…」
言葉に詰まった。
「どうした野比?」
先生はさらに問い詰める。
「まさか…君、ジャイアン様に理解を示しておらんな?」
ついに本心を見破られた。
「うっ…」
「ジャイアン教でない人間は人間にあらず…!」
先生の形相が変化した。
その顔はまさしくジャイアンそのものであった。
温厚で時には厳しいあの先生がジャイアンの顔をしているのだ。
「君を抹殺するッ!!」
すると先生は巨大な瓦を軽々と振り回してきたのだ!
「廊下にたっとれぇぇぇぇ!!!!!!」
ブンブンブンブン
「あぶない!」
のび太は避けるのが精一杯であった。
正面を突破しようにも攻撃範囲が広すぎるので一筋縄ではいかない。
「どうした、逃げ回っても無駄だぞ!!」
このままではやられる…
そう思いながら避けるがいい方法は見つからない。
その時、のび太はつまづいてしまった。
「アッー!!」
「もらったぁぁぁぁぁ!!!!!」
のび太の頭に瓦が振りかざされた!
バキ
…
「……………あれ?」
もうダメかと思ってい目をつむっていたのび太が目を開けると、瓦が粉々に粉砕されているのが見えた。
そして見上げてみるとそこには玉子の姿があった。
あのドライもんを倒した玉子が。
「…ママ!!」
「先生、いつものび太がお世話になっております。」
玉子はのび太の危機を察し、光の速さで一瞬にしてのび太の前に現れたのだ。
おそらく拳で瓦を破壊したのだろうが、手にはかすり傷一つ付いていない。
「これはこれはお母さん…。」
先生は驚きの顔を隠せない。
「お母さんもどうやらジャイアン様に理解しておられないようで…」
「なんのことかしら…?」
玉子はどうやら洗脳されていないようだ。
「のび太にはまだまだやってもらわなきゃいけないことがありましてねぇ…」
玉子の鋭い視線が先生に突き刺さる。
のび太はただ呆然とするしかなかった。
まさか玉子がこれほど恐ろしい人間だとは思いもしなかったからだ。
むしろ、人間を超越してるに違いない。
一方、先生はかなり震えている。
あまりにもビビっているのか、全身から大量の冷や汗を流しており、水溜りができるほどであった。
決して、失禁はしてない。
だがジャイアン教の信者であるからには逃げることは絶対に許されない。
逃げた者はその場で邪教徒と見なされ、永遠の地獄を味わうことになる、らしい。
「こうなったら…」
先生は力をためる。
「うおお…ッ!!」
唸りを上げる。
「竜巻トルネードライダーキィィィィック!!!」
先生は体を竜巻のように回転させながらドリルの如く突っ込んでくる。
ホーミングミサイルのような物凄いカーブを描いて玉子に突撃してきた!
「片岡流必殺拳!!スリッパハエ叩きぃぃぃぃ!!!!」
ブァスィィィィンッ!!!!
先生の腹に玉子が振りかざしたスリッパが炸裂した。
「んぎゃぱぅ!?」
そして玉子は反動を効かせてスリッパをスイングさせる。
「とりゃあああああああああ!!!」
シュイイイイイン
「ジャ、ジャイヤーーーさまあああ!!!」
ぽーん
先生は吹っ飛んでいった。
そのまま剛田雑貨店に向かっていった。
そして
ゴツーン
看板に直撃した。
しかし、その異常を気にする信者はいなかった。
ジャイアンは鼻糞をほじりながら見ているだけであった。
「だ、誰か気付いておくれ…。グヘ。」
「のび太、ケガはない?」
「う、うん…。」
こうしてのび太は家に帰ることができた。
家の中にはドライもんと戦った痕跡は全くなかった。
「ママ、ドラえもんは?」
のび太はあの戦いの行方は知らない。
「あー、ドラちゃんね…」
ママはまるで何事もなかったかのように言った。
「ドラちゃんはわからないけど…。」
のび太は思わず息を飲んだ。
「何か黒い物体があったから捨てておいたわよ。」
「…え?」
のび太は敢えて深く考えないことにした。
だが、その黒い物体がドラえもんだというのは間違いない、と思った。
「やっぱり、ドラえもんは…」
「あー!!そんなことよりものび太、あんたお使いに行ってないでしょ!!」
ママはのび太がお使いに行ってないことを急に思い出した。
しかしドラえもんに頼んだことは忘れてしまっているが。
「あ、あれはドラえもんが…」
「ドラちゃんがどうしたのよ!そうやって甘えてるから先生にやられそうになるのよっ!」
玉子はいつものように強気だ。
「帰ってきたらみっちり叱っておくつもりだったのよ…!」
のび太はガクガク震える。
まさか自分もドラえもんのようになってしまうのかと…。
「今日はどこのお店も早く閉まっててね…。あんたがあの時行ってれば買い物できたというのに…!」
「そ、それはジャイアンが…」
「口答えするんじゃありません!あんたのおかげで今日の晩御飯が作れないじゃないの!」
「い、いやそれは…この状況では買い物なんて…」
玉子はのび太の言い訳は一切聞いていない。
それどころかまるで何かを言い下すような態度であった。
「罰として…」
のび太はまさか処刑ではないかと思い、顔を真っ青にする。
そしてそれは言い下された。
「国士無双拳修得のための修行を命ずるッ!!」
「こ、国士無双拳…!?」
続く