第五部
第3話
銀の不死鳥
作者 ライコブ・サンダーズ

「お前は…誰だっけ?」

そいつが呆れ顔でガクッと項垂れる。

「私のオリジナルは影が薄かったからなぁ…出木杉秀樹のクローンだよ」

秀樹のクローン…もといエマニエルはそう言うと突如として不敵に笑い出した。

「何がおかしい?」

「いや、まさかこれだけで勝ったつもりになったとは、まだまだ君達も甘いなと思ってね」

そうエマニエルが言った途端、上空から何かが落ちてきた。

それは、先ほど空間取替装置で夢の島に送ったはずのシルバーフェニックスであった。

「な…一体どうやって…」

ドラえもんが驚いた顔で言う。

「このロボットの製作者はこんなこともあろうかとロボットにパイロット精神感応システムを搭載していたらしくてね。私がここに来いと思うだけで来てくれる訳だ。

もちろんこの状態でもある程度の遠隔操作が出来る。でも…」

シルバーフェニックスがエマニエルを土の中から掘り出し(もちろんその際に仮面も回収した)、頭のコックピットに入れる。

その間にドラえもんたちは『信濃』に乗り込んだ。

「やはりこの機体の真の性能を出すにはパイロットが直に操縦せねばならないからな。お遊びはここまでというわけだ」

エマニエルがシートの脇のレバーを引くと、シルバーフェニックスが四つん這いになり、その体が見る見るうちに変形してゆく。

背中からは鳥のような翼が出て、顔は体の中に収納され変わりに猛禽類を思わせるような顔がせり上がり、両腕両足が脇にガトリングガンとミサイルポッドの付いたクローに変わっていく。

その次の瞬間そこにいたのは、正にその名のとおりの銀色の巨大な不死鳥の形をしたロボットであった。

「シルバーフェニックス飛行形態…さっきの人型形態よりもこちらの方が使いやすい。では、改めていこうではないか」

と、エマニエルが言うと同時にシルバーフェニックスのガトリングガンが『信濃』の艦首を撃ち抜く。

『信濃』の艦首レールガン(完成度58%)がたちまち使用不可能なダメージを受ける。

「それは壊させてもらう、いくらなんでも反則的な武器だからね」

さらにミサイルポッドからの砲撃で荷電粒子エネルギー強制吸入コンバーターに異常が発生し、大口径荷電粒子砲が発射不可能になる。

「くっそぅ…空間入替装置や今壊れた奴のほかに使用可能な武器は無いの?」

のび太が悔しそうな顔で言う。

「大急ぎで建造したから取り付けられるはずだった武装もほとんど無いからね…あ、待てよ…」

ドラえもんが出木杉から渡された『信濃』のマニュアルを読む。そして確信する。

これなら、いける。

「各員、波動砲充填準備を開始せよ!!!」

ドラえもんがそういうや否や、撃ち抜かれた艦首レールガンの下が開き、巨大な砲塔が現れる。

唯一完成に至ったが、装填に時間がかかるとの理由で出木杉兄弟いわく『無くてもよかった』と言わしめた対要塞用波動砲である。

「後どれくらいで撃てる?」

ドラえもんが通信機で砲手に聞く。

「ただいま充填5%、まだまだです」

その間にもシルバーフェニックスの攻撃は続き、信濃の船体はボロボロになっていく、

「まだか?」

「ただいま10%、…まだです」

「フフフ…次はこれにするか」

エマニエルがボタンを押すと、シルバーフェニックスの口から光線が出て、その光線に当たったものは次々と凍り付いていく。

「足止めをしておかなくてはな。もうすぐ止めをさしてやろう」

「まだなのか?」

「15%、もうちょっとですが…」

と、目の前のシルバーフェニックスが突如人型形態に戻った。

「止めはこの鉄球で艦橋を潰してやれば終いだな。今頃奴が出木杉兄弟を始末しているころだが、いまいち不安だからこの後で加勢に向かうとするか」

シルバーフェニックスが鉄球を振り回し始める。狙いはもちろん操縦室がある艦橋だ。

「ではさらばだ、諸君。この程度の実力でE-Nを潰したとは、少々残念だよ…」

「20%、発射ギリギリです!!!」

「止めだ、喰らえぇぇぇぇぇぇ!!!」

「波動砲、発射ぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

グゴゴゴゴゴゴゴッ!!!

 

20%とはいえ膨大な量の波動エネルギーがシルバーフェニックスを包み込む。

ドラえもん達を始めとする『信濃』乗員もあまりの反動の強さで盛大にずっこける。

そしてその波動エネルギーが消え去った先には…

シルバーフェニックスが両手を交差して立っていた。

「だ…ダメだったか…」

『信濃』の乗員達は絶望と落胆が入り混じったような表情をする。

「いや、今回は君達の勝ち…いや、引き分けだな」

エマニエルの声が『信濃』のスピーカーを通して聞こえる。

「エネルギーフィールドを全開にして波動エネルギーを凌いだが…もうこっちのエネルギーが尽きかけている。

だが、この機体…というより我らの巨大ロボット全てには高性能学習装置と自動強化システムが付いている。

その戦艦の兵装はすべて見切らせてもらった上に、すべての機体にデータを送らせてもらったよ。

この次会うときはその波動砲にも完全に耐えられるように機体を改良しておく。では諸君、御機嫌よう」

と、シルバーフェニックスは人型形態から飛行形態になり、空の彼方に飛び去っていった。

「た…助かった…のか?」

スネ夫が言う。

「そうみたいだね…一応出木杉君達に連絡を取ってみよう」

ドラえもんはすぐさま出木杉と連絡を取るために通信機を出した。

「出木杉君?今こっちに鉄面党のロボットが来て、『信濃』が大ダメージを受けちゃったんだ。出来ればすぐにでも戻ってきてほしいんだけど…」

『ゴメン、今ちょっと無理かも… 来た!! 切るよ!!』

『何処だぁぁぁぁ!!! 出木杉英才と天才兄弟!!! このヴァルガ=ゼブナルクと『レッドカラミティ』が相手してや…』

そこで通信が途絶えた。

「…『信濃』が動かないから帰りを待とうか?」

 

薄情な主役である。

 

続く

 

 

補足

鉄面党13体の巨大ロボットについて

 

誰が、何のために、どのような方法を使って作ったのかは一切不明。

内部はブラックボックスの固まりで、どのような動力で動いているかも一切不明。

だた一つ解る事は、練馬空中機動艦隊に勝るとも劣らない超兵器の塊であるという事ぐらいである。

パイロット精神感応システムで遠隔操作が出来るほか、高性能学習装置や自動強化システムで相手の行動を学習し、

それに対抗するために更なる強化や次の段階の進化を遂げることが出来る。

正に神が使わせた13体の破壊の権化…なのかもしれない。

以上が補足である。

 

ミサイル研究所さんへ、『信濃』勝手にぶっ壊してごめんなさい。