第5話 撤退
作:T-Suzuki
協力:ライコブ・サンダーズさん
鉄面党が意気を高めている一方で、練馬空中機動艦隊は新たなる作戦を練っていた。
タイムパトロール長官である四龍崎涼太を味方につけ、鉄面党に対抗するというのだ。
しばらくすると、タイムパトロール隊の艦に牽引された信濃が事故車の如く向かってきた。
それにしてもこの信濃、ボロボロである。
砲台はすべて破壊され、ブリッジですら面影を少し残す程度になっている。
その跡からは鉄面党の攻撃が半端ではなかったことが窺える。
あらゆる装甲を溶かした形跡が非常に痛々しい。
最強と言われた信濃がここまでやられるとは誰が想像しただろうか?
のび太「こ、これは酷い…」
ジャイアン「ミンチよりもひでぇ…」
流石にミンチという表現はオーバーではあるが、もはや戦える物ではない。
今の信濃は置物にもならない巨大な鉄の塊なのだ。
会議室では、出木杉と四龍崎がその信濃を見つつ作戦会議を行っていた。
四龍崎「さて、君たち練馬空中機動艦隊はどうするつもりかね?」
出木杉「この状態では鉄面党とやり合うのは非常に厳しいかと思われます。」
四龍崎「ほう。」
出木杉「我々は体制を整えるため、21世紀に撤退したいと考えておりますが。」
四龍崎「よろしい。しかしまずはこの信濃とやらを修復せねばならないな。」
出木杉「承知しております。」
こうして練馬空中機動艦隊は21世紀へ撤退した。
一方、鉄面党は演説の後、大和襲撃失敗により次なる作戦を練っていた。
その中でヴァルガは短気な性格で荒々しいのか、苛立っていた。
今にも血管がブチ切れそうな状態であった。
ヴァルガ「ちきしょう!やつらをボコボコにしようと思ったのによぉ!」
???「まあ、落ち着け。」
????「うむ、今騒いだって何にもならんぞ。」
?????「激しく同意。」
ヴァルガ「うるせぇ!俺は今からでもやつを叩く!徹底的にな!」
ヴァルガとレッドカラミティとエマニエルを除く謎のクローン人間は影になってて見えないようである。
どうやら今は姿を出す必要性はない、という仕様らしい。
その中でヴァルガが火を噴くような勢いで暴れているが、他のクローン人間達は非常に冷徹である。
一方、出木杉英長も顔をまったく変える様子はない。
それどころか、鉄面党のクローン人間にも劣らない冷静さを見せている。
出木杉英長「やめたまえ、君。」
声の主である出木杉英長が放つ一言がヴァルガの思考を狂わせる。
ヴァルガ「いや、しかし…!やつらのことだから戦艦が修復されるのは時間の問題だぞ…!?」
レッドカラミティ「焦る必要はない。我々が敵に見せつけた力はほんのわずかにしかすぎないのだよ。敵はまだ我々の真の姿を知らないのだ。」
??????「そのとおりでございます。全員でかからなくとも、敵の行動パターンさえ知っていればノミ以下の存在でしかありえません。」
ヴァルガ「うっ…。だがなぁ…。」
鉄面党達はヴァルガを落ち着かせようと必死である。
???????「お前のおかげで敵の情報が完全に入った。それだけでもお手柄だ。」
????????「敵も大幅に戦力がダウンしている。修復したとしても精神的ダメージを受けたから、後回しにしても結果は同じである。」
ヴァルガもそろそろ落ちつく頃なのだが、まだ襲撃失敗の苛立ちは隠せない。
ヴァルガ「俺は諦めんぞ…!今叩かなければいつ叩く!?さっさとこんな茶番劇を終わらせてしまおうぜ!誰がなんと言おうと俺は…!」
出木杉英長「それ以上の無駄口はやめたまえ!今は相手の様子を見るだけだ!こんなときに出陣して無駄にエネルギーを浪費する必要はない!」
暴れるヴァルガを出木杉英長は止める。
さすがのヴァルガも出木杉英長の声には逆らえないのか、声を静めてしまった。
出木杉英長「敵も新たな勢力を味方につけている可能性が高い。ここはひとまず敵の動向を察するだけでいい。敵が戦力を上げてからでも我々が出陣するのは遅くない。最高のショーは最後に取っておこうではないか…。」
こうして、出木杉英長の一声により、ヴァルガの出陣はストップされたのである。
一方、練馬空中機動艦隊が撤退した21世紀ではタイムパトロールによって信濃が修復されつつあった。
メカニック「こいつは酷くやられたねェ。」
作業員「でも大破しなかっただけマシだよ。おかげで俺らの仕事が少なくて済むし。」
そんなやりとりがドックで行われている。
それは鉄面党の恐怖を知らないからこそできる呑気な会話である。
その様子を大鳳から見ている出木杉達は次の作戦のために会議をしている。
出木杉「僕達が撤退している間にも、やつらは新たな作戦を練っているはず。今度はどんな敵が来るかわからないし…苦戦を強いられそうだよ。」
のび太「そうだね…。英長の正体はまったくつかめないし…。」
ジャイアン「まずはあの変な怪物どもをぶっ潰しちまおうぜ!」
ドラえもん「でも僕達の戦艦でも倒せなかった相手だよ?どうすれば…」
スネ夫「タイムパトロールの技術ならなんとかなるんじゃないかな?」
ジャイアン「そうだろうけど、あいつはなんか胡散臭いんだよなあ。」
出木杉「どんなところが?」
ジャイアン「あいつらの技術なら鉄面党とやらを俺達がいなくても倒せるんじゃないか?わざわざ俺達と手を結ぶまでもないと思うぜ?」
ドラえもん「それはやってみてからじゃわからないよ?」
出木杉「向こうだって敵のことは知らないんだ。敵の情報を握っているのは僕らだけだし。」
ジャイアン「ぬう…。だけどあいつのいいなりにはなりたくねーな。」
ジャイアンは何故かタイムパトロール、特に四龍崎が気に入らないようである。むしろ、嫉妬しているようにも感じられる。
しかし、鉄面党の恐ろしさを見せ付けられてしまったからには誰かと手を結ぶのはやむを得ないことなのである。
それでもタイムパトロールの実力は双方にとって未知数である。
その頃、四龍崎は自室でタイムテレビを使って鉄面党との交戦の様子をチェックしていた。
四龍崎「これは…かなりの強敵だ…。」
タイムテレビに映し出される鉄面党の攻撃を見て思わず固唾を呑んだ。
四龍崎「しかし…数々の試練を乗り越えてきた我々の敵ではない…!アレを使えば…ッ!」
と、四龍崎がボソボソと呟いているその時であった。
トゥルルルルルルル
四龍崎「どうした?」
隊員A「た、大変です!22世紀で謎の軍団が暴れているとの報告がありました!緊急出動願います!」
四龍崎「んだとぉ!?よりによって作戦を考えているときに!」
意外にも鉄面党の攻撃が始まっていた。
おそらく相手をおびき寄せるための作戦なのだろうが、見逃すわけにはいかない。
四龍崎「あの戦艦はまだ修理が終わっていない…。どうやらアレを使う必要があるな…。よし、今すぐ22世紀の人間にアレをすぐ使えるようにしろ、と伝えておけ!」
四龍崎は自室を出て、知らせを伝えるためドラえもん達の場所、大鳳へ走っていった。
四龍崎「…どうしてタイムパトロールが君らと組んだか、教えてやるよ。」
自身ありげな四龍崎は大鳳に乗り込んだのであった。
続く
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